2013年2月10日日曜日

藤子・F・不二雄大全集 第3期 第13回配本(2012年9月)

いまごろになって、2012年9月に出た本のネタを。
もうすぐ、第4期が出てしまいますが…



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UTOPIA 最後の世界大戦



この本のタイトルである「UTOPIA 最後の世界大戦」と、藤子不二雄のデビュー作「天使の玉ちゃん」を収録。「UTOPIA 最後の世界大戦」当時のペンネームは、足塚不二雄ですね。

「UTOPIA 最後の世界大戦」



国名や地名として、「A国軍」(アメリカ?)とか、「S連邦の首都マスクワ」(ソビエト連邦のモスクワ?)が出てきて、冷戦時代を反映しているようです。キューバ危機を思い出したのですが、本作品は1953年で、キューバ危機は1962年でした。歴史は苦手。



「氷素爆弾」というのが出てますが、明らかに水素爆弾ももじりと思われます。しかし、「氷素爆弾」のほうは、何でもかんでも凍らせてしまうもの。あえてツッコミを入れると、そもそも爆弾は、高熱、高圧力で破壊するモノなんじゃないでしょうかね。凍ってしまうのに爆弾って…[E:coldsweats01]



登場するロボットが、なんとなくラピュタのロボットに似てる気がしました。



ロボットを作るために、大勢の人間が働いているのですが、現代の発想だと、ロボットを使ってロボットを作る、って感じでしょうか。後半ではそんな感じになっていますが。



装置類からの情報出力は、アナログ的な波形での表示や、ランプで表示しています。ディスプレイ(CRT)で情報表示する様子は、作中では描かれていません。ふと気がついたのですが、本作が出た当時は、そもそもテレビが一般的ではないんですね!?本格的にテレビ放送が始まったのがこの年(1953)と、月報にも書かれていました。



コンピューター、電子計算機、電子頭脳、といった言葉は出てきません。かわりに、人造脳、と言っています。



原爆や放射能についての感じ方が、当時と今とでは、けっこう変化してしまったのかな、と思いました。



ところで、登場人物が多くて、ちょっとわかりにくいです。逆に、読み応えがあるともいえますが。


「天使の玉ちゃん」



毎日小学生新聞(大阪版)1951年12月16日~1952年4月4日
に掲載とのこと。



新聞の漫画らしく、「おもしろすぎず、わかりやすく」・・・となっているみたいです[E:coldsweats01]



この作品は未完とのことで、尻切れトンボになっています。「まんが道」でもそんな感じのことが書いてあったような気がします。



P.126に「ぼくのお父さんセンソウでしんだんだ----。」というセリフがあります。まだ戦争が終わって6年ちょっと、という時代だったんですね



「国」という感じのところが「口」と書いてありました。「國」の略字?





P.139に、初回が掲載された「毎日小学生新聞 大阪版 1951年12月16日付」がまるまる1ページ収録されています。これが、けっこうおもしろい!



たとえば「かいがいニュース かわった人びと」というコーナー。

気絶して三十年間 ねむりつづけたアンナさん



千九百四十一年になってパッと目をひらきました。しかしその時はすでに五十一才のおばあさんになっていた

・・・そうですか、51歳はおばあさんなんですか・・・

磁石のような少女 何んでも手にすいつく



X光線のような目をもつブレットさん。

・・・よくわからないけど透視ができるっていう意味?X線?

人間ラジオ 電波を感じる頭



数年前アメリカのオハイオ州にある病院に来たひとりの病人をしんさつしてみると、電波を感じる頭を持っていることがわかりました。

・・・別の意味でおもしろい。ゲラゲラ



家庭でできる楽しいXマスケーキとくだもの」という料理コーナーがありますが、質素な感じです。干し柿、みかんの皮とか入れてます。



学術映画を十本つくる 文部省でらいねん二月ごろから」という記事。
内容はともかくとして、文章が、まるで小学生が書いたみたいなかんじ。2段分の記事の長さで、句点が2つだけ。1つの文が、ものすごく長い。

文部省では、お勉強に映画がたいへん役だつというところから・・・

・・・「お勉強」って[E:coldsweats01]

 百十一の題材があつまりましたので、近くそれらをいちいちしらべ、らいねん二月ごろから

・・・「いちいち」って言葉をここで使うかなぁ[E:coldsweats01] 現代の日本語と意味が違うのでしょうか。

なおいままでに「火山三原山」二巻をつくっており、さきにブラッセルでひらかれたこくさい地球ぶつり学会におくってたいへんほめられました。

・・・「ほめられました」、ですか[E:coldsweats01]



巻末の解説が、藤子不二雄(A)先生です。全集として、感動的な演出ですなぁ。


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ドラえもん (20)



小学館BOOK、小学生ブック、週刊少年サンデー、月刊コロコロコミック、小学三年生、小学四年生、小学五年生、コロコロデラックス
などに掲載された作品を収録。



幅広いです。



サンデーにドラえもん、っていうのは、自分の感覚ではかなり意外な感じ。
週刊誌は、昔は子ども向けだったらしく、それがだんだん年齢層があがっていってしまったとか。



てんとう虫コミックスのドラえもんに収録されている、ドラミちゃんが出てくる作品は、じつは、「ドラミちゃん」という別タイトルの作品を書き換えたものだった、というのは知ってはいたのですが、なんと、今回の第20巻では、雑誌掲載時のオリジナル版と、コミックス収録版との、両方が掲載されています。



見比べると、細かいところで、いろいろ手直しされているのがわかります。



「のび太」ではなく「のび太郎」、という遠い親戚の別人です。見た目は同じですが。
ただ、のび太郎の部屋は、ベッドがあります。これがコミックス収録時にも、そのまま残っていて、のび太の部屋にベッドがあるじゃないですか!うぉー!今はじめて気がついた!!



のび太郎の家の玄関の雰囲気も、ちょっと違うので、コミックスのほうでは、手直しされています。ただ、ところどころ、直されていないところもあったり(笑)



みよちゃん」が、「しずかちゃん」に変更されています。
コミックスで、みよちゃんと書いてあったような気がするんですか、記憶違いかなぁ。



のび太郎の両親の顔はまったく違うので、これがすべて描き換えられています。山奥の村で過ごす話(山奥村の怪事件、ふしぎなドア)は、みごとにすべて描き直されています。
途中からコマ割まで変わっているのはなぜなんだろう?



ズル木」は、「スネ夫」にはならなかったんですね。なんでだろう。



一方、「ゴリブリ」は、「ジャイアン」に書き換え変えられています。



海底を徒歩で渡ろうとしたのが、のび太ではなく、のび太郎だったのを知って、ちょっとショックかも[E:coldsweats01]





じゅん番入れかわりきのまき



秘密道具が、じーころじーころの黒電話のダイヤル。プッシュホンじゃないです。





ドラえもんとドラミちゃん



初出は、コロコロコミック1979年9月号。
これで出来杉が初登場した、とのこと。
当時、コロコロコミックで読んでて、強力なライバルが出現して、のび太大丈夫か?と思ったものです。
「なあおに、おとなになるまでまだ十年ある。そのあいだには、きっと逆転のチャンスだってあるさ!!」というのび太のセリフが、今の自分の心にグサグサと刺さります[E:coldsweats01]





ドンジャラ村のホイ



ところで、これ、ドラえもんのドンジャラと何か関係あるんですか?





ドラQパーマン



しのだひでお
コロコロコミック1979年8月号 に掲載。



80年代に、パーマン、Q太郎がアニメ化される前に描かれた作品です。そのため、作中でみんなが歌っている歌詞が、古いほうのアニメです。





特別企画 ドラとバケルともうひとつ



「ドラえもん大事典」は、てんとう虫コミックスのほうと、雑誌の企画の両方を収録。
見比べてみると、強力鼻が、人間の鼻の200倍だったのが、コミックスでは20倍になっていたりと、微妙に違いがあっておもしろい。
「原子ろ」は同じでした。「しっぽ」は、コミックスにだけあります。



昔の雑誌っぽく、絵物語があります。

天才少女歌手 円奈(つぶらな)ひとみのなぞをさぐる
感動伝記物語 スターたん生

あ~!これでしたか。化け猫みたいなドラえもんの挿絵があるのは。



どことなく、「漫画少年」っぽいです。学童社の。
学習なんでも図鑑おもしろおかしい動物、植物、昆虫とか。「まんが道」で、漫画少年のページで似たようなものが描かれていました。こちらは、1975年の雑誌ですが。



マンガワークブックという、漫画の描き方教室みたいなものがあり、読者の作品を掲載しています。後のコロコロコミックでも、そういうのがありましたねぇ。



「原子おはじき」というのは、加速器みたいなものですかね?ただ、見た目は、光学顕微鏡っぽいですけど。



「セルフしょうぎ」は、コンピュータと将棋をするもの。現代ではもう可能になってしまっています。



雑誌では「変身サイボーグ」だったのが、コミックスでは「サイボーグセット」に変わっています。同名のオモチャがあるからでしょうか?



「安全カバー」では、「原ばくが落ちてもへいき」と書いてあります。・・・うーん





解説は、平山隆氏。藤子F先生にとても信頼されていた編集者。この人だけが知っている逸話、などたくさんです。
たとえば、「ドラえもん誕生」。F先生は、楽屋裏を見せたくないと断っていたそうで、この名作を描かせたのは、編集者として見事な手腕ではないかと思います。
「ドラQパーマン」もF先生としては、あまり描きたくないタイプの作品だったそうですが、1回こっきりのお祭っぽいかんじでいい味がでてますよね。ちょっと微妙なところもあるかな
今、藤子・F・不二雄ミュージアムのFシアターでやってるアニメ作品も、そっち系ですね。のちに、「ドラハッパー」(ドラえもん+ハットリ君+パーマン)ってもありましたね。





もうすぐ第4期がスタート。ちょっと値段が高い気もしますが、こうなったら最後までつきあいます[E:coldsweats01]





■ 過去記事







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