藤子・F・不二雄大全集を、そろそろ落ち着いて読み始めようかな~、で、まず最初に選んだのがキテレツ大百科でしたが、次は、「バケルくん」。
バケルくんで知っているのは、ドラえもんの単行本に収録されていた「ぼく、桃太郎のなんなのさ」だけ。人形と人が入れ替わる、というアイデアが、どうもホラーっぽい感じがして、子どもながらに好きになれなかったのですが、大人になっても、やっぱりホラーっぽい感じは持ち続けていたりします。
私が感じるのは、マネキン人形が怖いと思うのと近い感覚で、人間の形をしているけど、人間ではないもの、本物の人の心を持っていない偽物、そういうのを避けようとする感覚です。
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というわけで、今回、はじめてバケルくんを読んでみたんですが、「オバケのQ太郎」(F先生とA先生の共著)、「パーマン」、「ドラえもん」で見られる、日常的な風景の中に、1点だけ非日常的なものが紛れ込んでいて、そこからドタバタ劇がはじまる、というパターンに、バケルくんも当てはまっているような感じはします。
バケルくんでは、
人形にさわると、別の容姿へ変身できて、その人形固有の能力が身につき(頭がよくなるとか、財布からいくらでもお金がでてくるとか[E:coldsweats01])、でも心はもとの人間のまま維持される
というのが基本アイデア。
自分以外の別のものへ変身したい、という夢やあこがれを、人形という小道具を借りて表現したのはおもしろいと思うのですが、連載を続けていく中で、その基本アイデアだけでは厳しかったんでしょうかねぇ。途中から、なんだかこじつけっぽいアイデアが、追加されていきます。
- 複数の指それぞれで、別々の人形を同時にさわると、複数の人形を同時に実体化できることになった。でも、心は元の一人の人間のものなのだから、複数の人形は、同時に同じ動きをしてしまう。
- その後、訓練を積むことで、複数の人形を、別々に動かせるようになる。でも、気をつけないと、同じ動きになってしまう。
- そのうち、二人の人間の、肉体だけを入れ替えることができる、謎の道具が新たに登場。
- 指のパワー(?)を蓄える、謎の道具が新たに登場。その道具を使えば、ちょくせつ指で人形にさわらなくても、間接的に、触ったことにできてしまう。
- 二人の人間がいて、片方からは姿形だけを、片方からは心だけをとりだして、合体させた、新しい人間を作り出せる、謎の道具が登場。
- パーマンでおなじみの、コピーロボットが登場。同じ人物を、同時に、別々に動かせるようになる。
う~ん、なんだかどんどんエスカレートしてます。
登場人物について思ったこと。カワルくん、ドラえもんでいうところの、のび太に相当するキャラですが、なんだか、キャラがたってないというか、目立たないっていうか、影が薄いというか・・・
最終回に相当する回だと思いますが、努力に努力を重ねて、ついに野球がうまくなって、大活躍、なんていう、ちょっといい話もありはしましたが。
変わったところで、おもしろいと思ったのが、ジャイアン相当のキャラ。
乱暴者だけど、なぜかユメ代(人形が実体化したキャラ)に惚れていて、これだけには弱い。巻末の解説でも触れられていて、この設定からストーリーがさらに広がってるところは、変化球っぽい感じがして、おもしろかったです。まあ、ジャイアンはかあちゃんに弱い、ってのと同じといえば同じかもしれませんが。
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8年の時を経て、なぜか突然、1984年に新作の連載が再開されたんですが、これはあまり長くつづかず、予定どおりだったのかどうかはわかりませんが、数回で終了しています。もしかすると、あまり人気がでなかったのでしょうか。
個人的には、人形を使って変身できる、というアイデアだけでは、どうも地味な感じがしてしまって(あと、ホラーっぽい感じがしてしまって)、ちょっともの足りないかなぁ、という感想を持ちました。
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バケルくん自体についてではないですが、おー!?と思ったもの。
表紙に書かれている、「ずうとるびの初恋日記」って、どんなものなんだ?!
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