「熱血!!コロコロ伝説 vol.3」の付録コミックス、「怪物くん」と「とどろけ!一番」を読んでみました。
怪物くん
今回は、藤子不二雄Aの名義になってますね。
今この年齢になって怪物くんを読むと、それなりに評価することはできるのですが、リアルタイムでコロコロコミックで読んでいたときは、ベタ黒が多かったりする絵柄がどうもなじめず、少し読みづらいな、と感じてました。正直、ちょっと苦手でした。似たようなことは、「忍者ハットリくん」でも感じてはいましたが。
1980年ころ感じていた違和感の原因の1つは、「時代が違う」ってことじゃないでしょうか。あのころはまったく知りませんでしたが、コロコロコミックに掲載されていた怪物くんは、ウィキペディアの内容をこの際信じるとして、もともとは、1965年~1969年に少年画報、1967年~1969年に週刊少年キングに連載されていたものだそうです。
昭和40年代と昭和50年代、たったの10年でも、このころの10年はかなり違いますよね。学生運動(←未だに何故そういうことをしていたのか意味ワカランです。笑)とか公害問題とか、薄暗いイメージの多い40年代。なんだかノウテンキで、みんなバカっぽくなっていった50年代。
☆
「怪物くんたちのきた夜」
4本の足がはえたテレビが、懐かしいです。昔、家にあったテレビもあんなのでした。
アラマ荘という寒い駄洒落、中身はトキワ荘っぽい雰囲気のアパートで、ヒロシとお姉さん(18歳の設定らしい)の二人暮らし。とってもつつましい感じ。
藤子A先生の作品でよく登場するセリフ、「ンマー」は、「うまい、おいしい」の意味ですが、最後のコマでは、「あらまあ」と驚きの意味で使われているのが、めずらしいです(はったりです。調べたことなんてないので)。
「怪物くん対おしうりくん」
ヒロシの姉さんのセリフ、怪物くんに対して「あなたの、お名まえなんてえの?」は、トニー谷のギャグですね。どうやら、ちょうどこの時代に流行していたのでしょうか。
さて、それに対する、怪物くんの答えは
「おれは……。」
「怪物太郎!」
あれ???その間はなんだ!?「……」はなんなんだよ!?もしかして、偽名だったのか?!
へんな名前だとは思ってたけど、あれって、実は、適当にウソを答えたのか?!
今回の新発見です。
たぶんそんなことないです。
怪物くんとガブロとゴリラキング
怪物というか、怪獣が登場していて、しかも、円谷博士というキャラも登場。円谷プロの特撮モノの影響を受けているかんじです。
ウルトラQが1966年だそうで、なるほど。
軟獣フニャラがおこった!
暴力団がアパートを破壊するシーンがあるのですが、
「このアパートをぶっこわして、自分たちのビルを作ろうとしている暴力団だ!」
ってことで、80年代の地上げ屋とは、ちょっと違いますね。
木人がウキキといった
木人(きじん)は、大木の化け物。木をどんどん切り倒して、山を荒らす人間をこらしめようとします。
環境破壊が問題となりだしている頃だったのでしょうか?
タイトルの「ウキキ」ってのが、何か元ネタがありそうな気がするのですが、よくわかりません。作品中に、1コマだけ、たしかにウキキーと言ってるんですが・・・
大木凡人は、何の関係もないかんじ。
カビーラがきたぞ!
カビまみれになったところを、点描風に描かれていて、おもしろい雰囲気です。描くのに、時間がかかってそうな感じです。
ジョン・カビラは、何の関係もないかんじ。
ペット怪獣ゴロニャーン
あ、この、ゴロニャーン、なんとなく覚えてます。
きもかわいい・・・かわいくはないか・・・
おいらは風のマタクル三
マタクル三(ぞう)が持っていた、風をおこす「うちわ」を、持っていってしまったヒロシ。そのおかげで、大騒動になる。
ヒロシ、あんた悪い男だね
アラビア魔術団きたる
ヒロシのうちのテレビの機種が変わってます。
というか、毎回違うみたいです。
作画用の設定資料なんてものは、用意していなかったんでしょうか。
アラビア魔術団の公演を見に行きたいというヒロシに対して、家計を預かるしっかりものの姉さんは、
空飛ぶじゅうたんのかわりに ごぞんじ、ほころびタタミ
さわっただけで、ついたり消えたりするふしぎな電燈
いくら入れておいても、すぐなくなる ビンの中のお金
と、うまいこといってあしらっています。こういった話芸は、ドラえもんの中でのび太のママも披露していたような気がしますが、落語とか、何か共通の原体験があったりするのでしょうか。
とどろけ!一番
これが、近年、もっとも読みたかった作品です。復刻版を買おうか迷って、結局は買わなかったんですが
・・・その程度かっ!?
ありえないこと連発、無意味にハイテンション、冷静に考えるとオカシナ必殺技、・・・典型的な「バカ・マンガ」ですね。今の時代、こういう作品ってちょっと成立しづらい感じがします。
少し、ノリがゲームセンターあらしに似ていますね。実際、作品中に、あらしの名前や絵が何回か登場しています。
小学生の受験戦争を舞台にして、強敵との戦いをつづけていく・・・
その設定、無理ありすぎです(笑)。
でも、あの当時、この作品を、心底からおもしろがっていたんですけど。おっかしいなぁ。
ちなみに、田舎の小学生だったので、中学校受験なんてものの存在自体、まったく知らなかったです。何しろ、私立の中学校が近所に存在しなかったもので。
オレは一番だい!
見た目はお調子者で、バカまるだしな主人公、轟一番(とどろき いちばん)。
それがなぜか、学力日本一を誇る「大日本進学塾」のテストで、百点満点をとってしまうのだ。「なんで、おまえのようなやつが」とライバルの常仁勝(つねに まさる)に言わせてしまうくらいに。
この二人が、どちらか一方が敗れるまで試験を続けるという、デスマッチを行うことになる。
この描写が、おおげさでイイ。
主要五科目の死闘試験(デスマッチ)。それは明治三十四年、この塾の創始者 多田励無(ただはげむ)先生がトップはつねに一人でなければならないという思想のもとにはじめたもので、同点数でトップになった二人に再試験を行い、どちらか一方が敗れるまで続けられる恐ろしい戦いなのだ。
このハッタリのかまし具合が、この作品を迷作にしていると確信しました。
読んだことないのですが、あちこちでネタにされるのでなんとなく知っている「魁!!男塾」に、何かノリが似てませんか?
轟一番の使うアイテムは、「書いても書いてもすりへらないという、あのまぼろしのえんぴつ、四菱ハイユニ(よつびし はいゆに)」
一方、常仁勝のアイテムは、「絶対にしんのおれないハイポリマー使用、パーカー シャープペンシル ローリングサンダー」
あの、学力勝負じゃないのですか?!獲物で勝負が決まっちゃうのですか?
少々心配になってくるのですが、大丈夫です(?)。
この勝負を決めたのが、轟一番の「秘技 答案二枚返し」・・・えーとですね、両手で鉛筆を持って2倍の速度で書いて、問題文と設問を同時に読む、ってやつなんですね。
ライバルのわざとらしい解説セリフによれば「この技だと、どんな問題でも二分三十五秒早くできると言われている」
あ、あのう・・・
まあ確かに、長文問題では、設問を先に読んでおく、というのは基本テクニックなんですけどね。
入試決戦
開布中学の入試を舞台に、轟一番と常仁勝が再勝負する。
入試でそんなことやっていいのか?!ってところへ、新キャラ登場。
大日本進学塾 塾長 多田元春(ただ がんばる)。創始者 多田励無から三代目にあたる。日本進学協会(NSK)の影の総理といわれる……。
このお方の一声
これだけ受験戦争に闘志を燃やす二人の戦いをやめさせるわけにはいかん。やらせたまえ。
に、試験官もひれ伏して「はは」。
それでいいのか!!!
今回、轟一番が披露したのが、秘技パートⅡ 消える魔しんゴッドハンド!!
だ~か~ら~ 学力はどうなったの?! 素早く文字が書けたほうが勝ちなのですか!?
ところで「魔しん」って何?
まあそんな感じで、この話も、熱い展開が続くのでありました。
ショック! 合格発表
轟一番と常仁勝の入試を舞台にした勝負の結果がでる。
常仁勝は合格。轟一番は不合格。
・・・このオチのつけかた、漫画の歴史に残るでしょう。
今でもあの当時ショックに思ったことを鮮明に覚えています。
Oh! No!!! そんなのありえないよ・・・
カンニングに負けるな
いつのまにか、轟一番に「うわさの受験戦士」というキャッチコピーがついてます。
そこへ登場したのが新たなる敵「受験界の魔術師 虎野巻二郎」。
・・・おっさんみたいなキャラで、あんた何歳?って感じですが、同学年の小学6年生みたいです。う~ん、まいりました。
名前どおり、カンニング技を使うのですが、そもそも、いくらカンニングしたところでね、やったことがある人はわかると思いますが(私は無いです 笑)、そう簡単に全問正解なんてできるわけないんです。まあ、マンガの中では、そんなことおかまいなしなんですが。
まあ、この話でもいろいろありえねー展開の連続のあげく、とりあえず、必技を出しておきますか、てな感じで、強引にオチへとつながっていくのでした。
なぐりこみ、スパルタ塾
スパルタ方式で無茶苦茶な教育をする塾があり、そこでは多くの生徒が苦しんでいる。それを助けるために、轟一番が潜入し、その塾との勝負にいどむ・・・みたいな感じ。
おいおい、本当に受験戦士になってきましたよ。
ライバル百郎太の必殺技は百キログラム答案法。巨漢の百郎太が答案用紙に文字を書くと、筆力が生む強烈な横揺れが生じ、周囲の人間が答案を書けなくなるという技。
・・・もはや、学力はまったく関係なしですなぁ。
血まみれ! 日米決戦
常仁勝のいとこで、アメリカに留学して5年になる、間久堂鳴人(まくどなるど)が、日本へ帰ってくる。
マクドナルド君のセリフ、「ひさびさに日本のださい空気を吸いたくなってな」
・・・おまえが言うな!
あのころ、これがかっこよかったのかなぁ?
まあ、予想通り、こいつと轟一番との勝負になるわけです。理屈じゃないです。
ところで
なんか、アラレちゃんっぽいなぁ・・・
まあいいや。
今回の勝負は、魔の三百公式暗記試験。これがですね・・・
小学校六年間のすべての公式と、そのほか受験範囲以外のものまで、ざっと三百もの公式を暗記してのぞまなければならない地獄のテストなのだ…。
かつて東大の学生がこれに挑戦して睡眠不足と過労のため死んだというテスト
なんだそうです。
おしいなぁ。確かに、東大生だと死んじゃうかもしれない。東大の受験生なら、300程度、軽いでしょうね。
おかしいところ、もう1つ。轟一番が徹夜で必死に暗記してる公式が、三角形の面積の公式や、台形の面積の公式なんですね。あんた、そんくらい、今ごろおぼえなくたって、もともと知ってるでしょーに・・・
☆
ありえない度では百点満点の「とどろけ!一番」。学力はどうしたんだ、疑問もふっとんでしまう、奇妙奇天烈なパワーで一杯です。
■ 過去記事
- 熱血!!コロコロ伝説 vol.3 1981・1982
- ビッグセブン ・・・ 夏の恒例?
- コロコロ伝説vol.2を読む
- 「ゲームセンターあらし」と「金メダルマン」
- 熱血!!コロコロ伝説 vol.2
- バンザイ!!待ってたぜっ!! 「熱血!!コロコロ伝説」 vol.1
- 「新オバケのQ太郎」と「がんばれ!ドンベ」
- コロコロ伝説vol.1を読む
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