2007年6月9日土曜日

みきおとミキオ

先月、書店にて、こんな文庫本でてたっけ?と見つけて、なんかめずらしい気がしたので、とりあえず買っておいたものでした。



みきおとミキオ
藤子・F・不二雄
20070608




でも、初めて読んだのは、コロコロ伝説のほうでした。



1974年の現代社会(連載当時)に住んでいる「みきお」と、100年後の2074年の未来社会に住んでいる「ミキオ」が、こっそり入れ替わって、タイムトンネル通り抜けて、互いの世界での生活を楽しむ、という話。



ほとんどは、みきおが100年後の世界でおどろきの体験をする方の話ばかりで、未来からきたミキオの体験については、ほとんど語られていません。語る前に連載が終わってしまったのでしょうか?



100年後の世界といっても、現在2007年ですから、67年後です。誰もがかつて夢見たような、典型的な未来世界が描かれていて、空を自由に飛んだり、宇宙へ出かけたりするんですが・・・いや~67年後に、そんな風になっているでしょうかね。



藤子先生が夢見た100年後の世界にあるものは、夢のような機能が実現されていて、たしかに進化はしているものの、基本的にはフィルムを使った8ミリカメラであったりとかで、いやはや、20~30年後の世界を予想するのも、簡単ではないなぁ、なんて、変なところにおもしろさを感じてしまいました。



たったの100年後ですが、未来人は、コンピューターなどの機械に頼りすぎていて、小学生でできるレベルの掛け算の計算も、計算機を使わないとできなくなっているってのがあり、おいおい、計算についてはわかんないけど、100年たたずに、今現在でも、漢字を手で書けなくなってるよ・・・という恐れがすでにあります。ヤバイですね。



実は、個人的に一番おもしろかったのは、計算ができなくなっている未来人ではなくて、コンピューターが出力した計算機を、みきおに見せながら、こんな難しい計算をコンピューターなしで人間ができるわけないよ、というような感じでぼやいているシーン。えーとですね、その計算式が、紙テープのようなものに、印字されているんですね。



ハハハ、そうか、1974年=昭和49年、当時は、コンピューターらしいものといえば、紙テープだったんですかね。



もっとも、紙テープは、穴をあけて(穿孔)データを記録してたそうなんで、文字で印字はしたりしなかったと思うのですが・・・えーと、私も、紙テープが使われているのは、見たことないんで・・・ 大学の研究室の床下(フリーアクセス)に埋もれていたのを見つけてしまったけど、見なかったことにしてそのまま埋めといたことはあります。



大学ってところには、けっこう古臭いものがたくさん残っていたりして、おもしろかったです。中でも、洗濯機みたいのががっこんがっこん動いているのを見たことがあって、おお、これが磁気ドラム装置ってやつっすか?!とか思ったのですが、本当にそうだったのでしょうか。あれは夢か幻か・・・



コアダンプ(core dump)の由来である、コアメモリの実物は、見たことがあります。別に展示品とかではなくて、ごく普通にボードがおいてありました(笑)。動いているのは見たことがないです。



磁気バブルメモリが捨ててあって、めずらしいかも?!と思って、拾って帰ったりも。





紙テープって、個人的なイメージとしては、なんとなく1960年代っぽい香りが漂うんですが(ウルトラマンが思い浮かびます)、どうなんでしょう。



21世紀の現代でも、冷蔵庫くらいの大きさの箱型の機械の中で磁気テープがクルクル回っているのを、あれがコンピューターなんだと思っている人は、まだたくさんいそうな気がします・・・
あれはただの記憶装置。周辺機器にすぎないんですけどね、なんかあれがコンピューターなんだ、みたいなイメージが植えつけられてしまっていますよね。



ランプがちかちか点滅しているのをコンピューターっぽいと感じる人もいるかもしれません。
私も以前はそういうのを、古くさいイメージだなぁ(笑)とバカにしていたのですが、何年か前、ラックに収められたブレードサーバなるものを見て、「あっ、こんなところにまだあった・・・」と思ってしまいました。
なんか意味がよくわかんないけど、いろんな色のLEDがたくさんチカチカしてました(笑)。







むしろ、1974年の生活のほうが、今でさえ、ちょっと懐かしさを感じてしまいました。もしも行けるとしたら、未来の2074年よりも、過去の1974年の方へ行ってみたいです。2007年、すでに失ってしまったものが、たくさんあるような気がします・・・





この「みきおとミキオ」は全1巻らしいのですが、途中の話から、黒い毛むくじゃらの犬みたいのが(名前は「ポンチ」)、何の前触れもなく、人間の言葉を話し出しています。これまで、まったくしゃべってなかったのに、唐突に・・・



巻末のコラムを見てその謎は解けたのですが、今回収録されていない話が、あと3話あるそうです。で、そのダイジェスト版のようなものが、コラムとして語られているのですが・・・おい、おい、そんなの入れるくらいなら、オリジナルのまま収録してくれればいいのに・・・たったの3話くらい。話のつじつまが合わなくなることくらい、どうってことないですよ。どうせ「みきおとミキオ」を読むのって、30代以上の藤子マンガで育った「大きいおともだちだけ」でしょ。そんなことは、十分納得した上で、読みますよ。



というわけで、この点だけ、非常に不満に感じました。



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